三角関数の微分

$\sin x$の微分

\[(\sin x)'=\cos x\]の証明.三角関数の和と積の公式を利用します.\[\begin{align}(\sin x)'&=lim_{\Delta x \to 0}\frac{\sin(x+\Delta x)-\sin x}{\Delta x}\\&=lim_{\Delta x \to 0}\frac{2\cos(x+\frac{\Delta x}{2})\sin\frac{\Delta x}{2}}{\Delta x}\\&=lim_{\Delta x \to 0}\cos(x+\frac{\Delta x}{2})\frac{\sin\frac{\Delta x}{2}}{\frac{\Delta x}{2}}\\&=lim_{\Delta x \to 0}\cos(x+\frac{\Delta x}{2})lim_{\Delta x \to 0}\frac{\sin\frac{\Delta x}{2}}{\frac{\Delta x}{2}}\\&=0\end{align}\]

sinc 関数

$sin x$ の微分の計算で,\[lim_{x \to 0}\frac{\sin x}{x}=1\]という公式を利用しました.

この関係式は sinc関数 と呼ばれるものです.この sinc関数を証明してみることにしましょう.

上記の三角形で $\angle COB$ は $90^\circ$ つまり $\frac{\pi}{2}$ とします.

ここで,扇型$OAB$ の大きさは $\bigtriangleup OAB$ よりは大きく $\bigtriangleup OCB$ よりは小さいことが分かるでしょう.

$\bigtriangleup OAB$ の面積は,\[\bigtriangleup OAB =\frac{1}{2}\sin x\]となります.

また,$\bigtriangleup OCB$ の面積は,\[\bigtriangleup OCB =\frac{1}{2}\tan x\]となります.

扇型 $OAB$ の面積は,半径が $1$ であるので,\[\frac{1}{2}x\]となります.

従って,\[\frac{1}{2} \sin x < \frac{1}{2}x < \frac{1}{2}\tan x \]という関係が成り立ちます.

この式の両辺を $\sin x$ で割ると,\[\frac{1}{2} < \frac{1}{2}\frac{x}{\sin x} < \frac{1}{2} \cos x\]となります.さらに逆数にすると,\[2 \cos x < 2\frac{\sin x}{x}<2\]となり,2で割ると,\[\cos x < \frac{\sin x}{x} <1\]となります.

ここで,$x \rightarrow +0$ とすると,$\cos x =1$ となるので,挟み撃ちの原理(squeeze theorem)から,\[lim_{x \to +0}\frac{\sin x}{x}=1\]となります.加えて,\[\frac{\sin x}{x}=\frac{\sin(-x)}{-x}\]なので,\[lim_{x \to -0}\frac{\sin x}{x}=1\]となりますから,結局,\[lim_{x \to 0}\frac{\sin x}{x}=1\]ということになります.

ちなみに,この美しい関係式が成立するのは角度の単位がラジアンである場合だけです.角度の単位が度である場合は成り立ちません.

$\cos x$の微分

\[(\cos x)'=-\sin x\]の証明の証明も $\sin x$ のときと同じように和と積の公式を利用します.\[\begin{align}(\cos x)'&=lim_{\Delta x \to 0}\frac{\cos(x+\Delta x)-\cos x}{\Delta x}\\&=lim_{\Delta x \to 0}\frac{-2\sin(x+\frac{\Delta x}{2})\sin\frac{\Delta x}{2}}{\Delta x}\\&=-lim_{\Delta x \to 0}\sin(x+\frac{\Delta x}{2})lim_{\Delta x \to 0}\frac{\sin \frac{\Delta x}{2}}{\frac{\Delta x}{2}}\\&=-\sin x\end{align}\]

Mathematics is the language with which God has written the universe.





















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