プロセス

メモリ分離

各プロセスは独立したメモリ空間を持つため,他のプロセスのデータには直接アクセスできない.このように,メモリ保護が強力であり,あるプロセスがクラッシュしても他のプロセスに影響を与えにくい.

独立性

プロセスは完全に独立しており,一つのプロセスが終了しても他のプロセスには影響しない.このため,プロセス間ではプロセス間通信[IPC: Inter-Process Communication]が必要となる.

作成コスト

新しいプロセスを作成するには,OSが新しいメモリ空間を割り当てる必要があるため,オーバーヘッドが大きい.

使用例

Webサーバとデータベースサーバのように,独立したアプリケーションの実行単位として使用される.

形式的定義

プロセス $P$ は次のタプルで定義される.\[P = (C, M, R, S, \text{PID})\]

ここで,

• $C$: 実行中のコードまたは命令列[Program Counter, 命令ポインタなど].
• $M$: メモリ空間[データセグメント,スタック,ヒープを含む仮想アドレス空間].
• $R$: 必要なリソース[ファイルディスクリプタ,ネットワークソケットなど].
• $S$: プロセスの状態[Ready, Running, Blockedなど].
• PID: プロセスID.プロセスを一意に識別するための識別子.

なお,プロセスは通常,以下のような状態を持ち,状態遷移図により表現される.

• New[新規作成]：プロセスが作成される状態.
• Ready[準備完了]：プロセスがCPUを待機している状態.
• Running[実行中]：プロセスがCPUを占有して実行されている状態.
• Blocked[待機中]：I/O待ちや他のリソース待ちで一時停止している状態.
• Terminated[終了]：プロセスが終了した状態.

Mathematics is the language with which God has written the universe.