コピュラ

Definition:copula

確率変数 $X_1, X_2, \dots, X_d$ の結合分布関数を $F(x_1, x_2, \dots, x_d)$ とし, それぞれの周辺分布関数を $F_i(x_i)$ とする.このとき,スカラー値関数\[C:[0,1]^d \to [0,1]\]であって,\[F(x_1,\dots,x_d)=C(F_1(x_1),\dots,F_d(x_d))\]を満たすものをコピュラと呼ぶ.

ここで $C$ はユニット立方体 $[0,1]^d$ 上の分布関数であり,各変数の周辺分布が一様分布 $U(0,1)$ となるように規格化されている.

コピュラは,多変量分布において変数ごとの分布とそれらの依存関係を切り離して記述するための道具である.結合分布 $F[x_1,\dots,x_d]$ は,周辺分布 $F_i[x_i]$ の組み合わせと,依存関係を表すコピュラ $C$ によって完全に表現できる.特にスコラーの定理により,任意の結合分布は必ずあるコピュラを通じて表現可能であること,また周辺分布が連続であればこのコピュラは一意であることが保証される.このため,コピュラは多変量分布の一般理論において基盤的役割を果たす.

直観的にいえば,コピュラは「変数ごとのふるまい」[周辺分布]と「それらがどのようにつながりあっているか」[依存構造]を分離するものである.たとえば資産リターンのモデリングにおいて,各資産のリターン分布自体は異なるが,市場全体のショック時に同時に大きな変動を起こすといった依存性はコピュラによって捉えることができる.このように,コピュラを利用すれば線形相関では表現できない非線形依存や尾部依存を適切に表現できる.

歴史的には,コピュラの概念は1959年にエイブ・スコラー[Abe Sklar,1925-11-25/2020-10-30]が定式化したスコラーの定理に端を発する.この定理は結合分布を周辺分布と依存構造に分離できることを初めて明確に示したものであり,以後,確率論・数理統計学における依存モデリングの中心概念となった.1970年代以降,保険数理やリスク理論の研究で実用的に利用されるようになり,1990年代から2000年代にかけては金融工学における信用リスク評価,特にデリバティブ商品のリスク管理において急速に普及した.ガウシアン・コピュラt-コピュラに代表される楕円型コピュラ,あるいはClayton,Gumbel,Frank といったアルキメデス型コピュラなど,多様な族が体系化され,依存の多様なパターンを表現することが可能となった.今日に至るまで,コピュラは多変量依存の理論的研究のみならず,金融,保険,機械学習など広範な応用領域において,依存のモデル化を担う中心的な概念として位置付けられているのである.

性質

コピュラ $C(u,v)$ は次の性質を持つ必要がある.

基底性

もし $u=0$ または $v=0$ なら $C(u,v)=0$ .

これは確率分布関数の基本性質に由来する.$X \le x$ の確率が 0 なら,$X \le x$ かつ $Y \le y$ の確率も 0 になる,という意味である.

独立コピュラ $C(u,v)=uv$ では, $u=0$ または $v=0$ のとき確かに $C(0,v)=0 \cdot v =0$、$C(u,0)=u \cdot 0=0$ となる.これは矛盾ではなく,性質を満たしていることを示す.

一様周辺性

\[C(u,1) = u, \qquad C(1,v) = v\]

独立コピュラ $C(u,v)=uv$ では $C(u,1) = u\cdot 1 = u$,$C(1,v) = 1\cdot v = v$ となり,この条件も満たす.

Mathematics is the language with which God has written the universe.





















自然対数の底 カイ二乗分布 t分布 独立 同時確率分布 自由エネルギー