Theorem:Sklar's Theorem
$d$ 次元の確率変数 $X = (X_1, X_2, \dots, X_d)$ が結合分布関数 $F$ を持ち, 周辺分布関数を $F_1, F_2, \dots, F_d$ とする.このとき,任意の結合分布関数 $F$ に対して,あるコピュラ $C : [0,1]^d \to [0,1]$ が存在し, すべての $x_1, x_2, \dots, x_d \in \mathbb{R}$ に対して,\[F(x_1, x_2, \dots, x_d)= C\bigl(F_1(x_1), F_2(x_2), \dots, F_d(x_d)\bigr)\]が成り立つ.
さらに, もし各 $F_i$ が連続であれば,コピュラ $C$ は一意である.
また,任意のコピュラ $C$ と任意の分布関数 $F_1, F_2, \dots, F_d$ を取れば,次で定義される $F$ は結合分布関数となる.\[F(x_1, x_2, \dots, x_d)= C\bigl(F_1(x_1), F_2(x_2), \dots, F_d(x_d)\bigr).\]
Theorem:Converse of Sklar’s theorem
任意のコピュラ $C$ と任意の分布関数 $F_1, F_2, \dots, F_d$ を取れば,次で定義される $F$ は結合分布関数となる.\[F(x_1, x_2, \dots, x_d)= C\bigl(F_1(x_1), F_2(x_2), \dots, F_d(x_d)\bigr).\]
スコラーの定理[順方向]の「結合分布は必ずコピュラで表せる」と,スコラーの定理の逆定理の「コピュラと周辺確率分布を与えれば結合分布を作れる」を合わせることにより,結合分布とコピュラ+周辺確率分布は一対一の対応関係にあるということが言える[但し,連続の場合は一意].
各 $F_i$ は単調連続増加であるため逆関数 $F_i^{-1}$ が存在する.ここで次を定義する.\[C(u_1,\dots,u_d) := F(F_1^{-1}(u_1), \dots, F_d^{-1}(u_d)), \quad u_i \in [0,1].\]
コピュラ $C$ の重要な性質として境界条件がある.\[C(1,\dots,1,u_i,1,\dots,1) = u_i\]
ここで $U_j=1$ は「変数 $X_j$ が取りうる最大値以上」を意味する.他の変数をすべて最大値に固定すると,残った変数 $X_i$ の分布は元の周辺確率分布に従う.2次元の例でいうと,\[C(u,1) = F(F_X^{-1}(u), F_Y^{-1}(1)) = F(F_X^{-1}(u), +\infty) = P(X \le F_X^{-1}(u)) = u\]
このように境界条件により,コピュラが依存構造のみを表すことが保証される.
さて,定義したコピュラ $C$ を使うと,\[C(F_1(x_1),\dots,F_d(x_d)) = F(F_1^{-1}(F_1(x_1)),\dots,F_d^{-1}(F_d(x_d))) = F(x_1,\dots,x_d)\]が成立する.連続性により $F_i^{-1}(F_i(x_i)) = x_i$ が成り立つ.
また,連続分布の場合,各 $F_i$ は単調増加かつ連続なので逆関数 $F_i^{-1}$ は一意.よって, $C$ も一意に定まる.
まず,値域の確認を行う.$C$ はコピュラなので, $0 \le C(u_1,\dots,u_d) \le 1$.各 $F_i(x_i) \in [0,1]$ なので, $F(x_1,\dots,x_d) \in [0,1]$.
次に,増加性の確認を行う.$C$ は各変数について単調増加.各 $F_i$ も単調増加.よって, $F$ は各 $x_i$ に関して単調増加となり,分布関数の条件を満たす.
続いて,境界条件を確認する.$x_i \to +\infty$ とすると $F_i(x_i) \to 1$.
コピュラの境界条件により, $F(\dots,x_i,\dots) \to F_i(x_i)$.
$x_i \to -\infty$ では, $F_i(x_i) \to 0$.
よって,分布関数の条件を満たす.
以上により,任意のコピュラと周辺確率分布の組み合わせから有効な結合分布が構成できることが示された.
Mathematics is the language with which God has written the universe.