
Westeria brachybotris cv. Murasakikapitan.マメ科フジ属(Fabaceae Wisteria)。つる性落葉木本。
ムラサキカピタン(紫カピタン、学名:Wisteria brachybotrys 'Murasaki-Kapitan')は、マメ科フジ属(Wisteria)に属する園芸品種であり、ヤマフジ(Wisteria brachybotrys Sieb. et Zucc)から選抜・作出された一重咲き品種として知られる。花色は旗弁が白色、翼弁と竜骨弁が紫色の二色構成であり、透き通るような美しさを持つ。花房が短くまとまりよく垂れ下がる特徴的な花姿と、芳醇な香りを備えた観賞価値の高いフジとして広く栽培される。
ムラサキカピタンは、「カピタン(花美短)」と呼ばれる一群のヤマフジ系園芸品種のうち、紫色の花をつけるものである。「カピタン」は漢字で「花美短」と書き、花房が短く美しいという形態的特徴を示す名称であり、外来語(例えばポルトガル語・スペイン語の capitão/capitán「隊長」)に由来するものではない。同グループには白花のシロカピタン、ピンク花のアカカピタン(またはアケボノカピタン)などがある。
つる性の落葉木本であり、他物に左巻き(上から見て反時計回り)に巻き付きながら生育する。これはヤマフジの特徴であり、右巻きのノダフジと区別する重要な形質である。葉は奇数羽状複葉で、小葉は長楕円形を呈し、両面に細毛を有する。
花は総状花序を形成し、花房の長さは10〜15cm程度とヤマフジ系に典型的な短さを示す。花は蝶形花であり、旗弁が白色、翼弁と竜骨弁が紫色の二色構成となる。花序上のほぼ全ての小花がほぼ同時に開く傾向があり、花房がたわわに満ちたように見える。芳香が強いことも本品種の魅力の一つである。また蕾の脱落が少ないため、切り花・生け花用としても利用される。ヤマフジの個々の花はノダフジより大きく、直径2〜2.5cm程度である。
| 草丈/樹高 | 15m. |
| 葉 | 葉序[phyllotaxis]は互生[alternate]. |
| 花 | 花序[inflorescence]は総状花序. |
ムラサキカピタンは園芸品種であり、自然分布は持たない。基となるヤマフジ(Wisteria brachybotrys)は日本固有種で、近畿地方以西の本州・四国・九州の低山に自生するが、本品種は栽培環境下で維持される。日照を好み、適度な湿潤土壌で良好に生育する。つる性であるため支柱や棚仕立てが必要となる。
花色は旗弁(白)と翼弁・竜骨弁(紫)の二色性によって特徴づけられ、翼弁・竜骨弁の紫色はアントシアニン系色素によって形成される。環境条件(気温、光量、土壌pHなど)によって発色の濃淡が変化することがある。
マメ科植物として根粒菌(Rhizobium 属など)との共生による窒素固定能力を持つ点は基本種に準ずる。ヤマフジ系品種であることから、栄養繁殖(挿し木・接ぎ木)によって増殖・維持されるのが一般的である。
ムラサキカピタンは、その芳香と二色性の美しい花房により観賞用として高く評価される。花房が短くまとまりがあるため、藤棚仕立てのほか、鉢植えや盆栽仕立て、さらに切り花・生け花にも用いられる。蕾の脱落が少ない特性も実用上の利点とされる。一方、つる性植物であるため定期的な誘引・剪定が必要であり、管理には一定の手間を要する。
フジ属(Wisteria)はマメ科に属する木本性つる植物の一群で、北アメリカ東部・東アジアに分布し、日本にはノダフジ(W. floribunda)とヤマフジ(W. brachybotrys)の2種が自生する。ムラサキカピタンはヤマフジ(W. brachybotrys)の変異・選抜から生まれた園芸品種であり、文献によっては交雑起源(Wisteria × valderi 'Murasaki-Kapitan')として整理されることもある。いずれにせよ、人為選抜によって特定の花色・花房形態が固定された事例であり、園芸植物の育種史における典型的な品種形成の例として位置づけられる。

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第2版:2026-04-29.
Vita brevis, ars longa. Omnia vincit Amor.