
Petasites japonicus(Siebold et Zucc.)Maxim. cv. Variegatus.キク科フキ属(Asteraceae Petasites)。多年生草本。
斑入り蕗と書く。フキの園芸変種であり、一般に斑入りの葉を特徴とする個体群を指す。基準種は日本各地に自生するフキ(Petasites japonicus(Siebold & Zucc.)Maxim.)であり、その葉に白色または淡黄色の斑(不規則な色抜け)が入ることによって観賞価値が高められている。なお基準種には亜種としてアキタブキ(P. japonicus subsp. giganteus)が知られ、より大型となる。
野生のフキが主として食用・山菜として利用されるのに対し、フイリブキは主に観賞用として栽培される点に特徴がある。
フイリブキは多年草であり、地下に太い根茎を持ち、そこから多数の葉柄を伸ばして大型の葉を展開する。草丈は葉柄を含めて50〜100 cmに達することがある。
葉は円形から腎円形で直径30〜60 cm程度に及ぶ大型のもので、縁には浅い鋸歯が見られる。最大の特徴は葉面に現れる斑であり、白色・クリーム色・淡黄色などが不規則に分布する。この斑は葉緑体の欠損または機能低下によるものであり、個体ごとに斑の入り方は大きく異なる。
葉柄は太く中空で、内部に通気組織を持つ。春先には葉の展開に先立ち、花茎(いわゆる「フキノトウ」)が地表に現れる。フキは雌雄異株であり、雄株のフキノトウには雄花(筒状花が中心)が、雌株のフキノトウには雌花が集まる。 花序は頭状花序の集合体であり、キク科特有の構造を示す。
| 草丈/樹高 | 20cmから30cm. |
| 葉 | 葉序[phyllotaxis]は互生[alternate].単葉[不分裂葉]. |
| 花 | 花序[inflorescence]は円錐花序. |
フイリブキは自然界に広く安定した野生個体群を持つというよりも、フキの変異個体をもとに選抜・栽培された園芸植物である。そのため、分布は主として人為的な植栽地(庭園、寺社境内、山野草園など)に限られる。
基となるフキは日本全土(北海道から九州)および東アジアに広く分布し、湿潤な河川敷、林縁、谷地などに自生する。フイリブキも同様に湿潤で肥沃な土壌を好み、半陰地でよく生育する。
地下茎による栄養繁殖が盛んであり、条件が整えば群落を形成する。ただし斑入り個体は光合成能力が部分的に低いため、純緑個体に比べて生育速度はやや遅い傾向がある。
フイリブキの斑は、葉緑体の分布異常または機能欠損によって生じるものであり、斑の部分では光合成がほとんど行われない。このため、同一葉内で光合成活性が不均一となる。
このような斑入り形質はしばしばキメラ構造に起因する。キメラとは遺伝的に異なる細胞集団が一個体内に共存する状態を指し、斑入り植物においては特にプラスチドキメラ(葉緑体の有無・機能の差異が細胞層ごとに異なる状態)が重要である。この場合、葉緑体を持たない細胞層が表層に分布する領域が斑として現れる。栄養繁殖によって維持されることが多い一方、種子繁殖では斑が安定的に遺伝しない場合もある。
化学成分としては、基準種フキと同様にセスキテルペン類やフェノール性化合物を含み、特有の香気や苦味を示す。また、フキに含まれるピロリジジンアルカロイドは肝毒性を持つことが知られているが、調理の際のあく抜き・加熱処理によりその含量は大幅に低減される。問題となるのは主に長期間・大量摂取の場合であり、通常の食用量では大きなリスクとはならないとされている。
フイリブキは主として観賞用植物として利用される。大型で斑入りの葉は庭園において強い視覚的効果を持ち、とりわけ日陰の景観植物として重宝される。
一方で、食用としては一般的ではない。基準種であるフキは葉柄およびフキノトウ(花茎)の両方が山菜として広く利用されるが、斑入り個体は生育が不安定であることや、観賞価値が優先されることから、食用にはあまり供されない。
園芸的には株分けによって増殖され、湿潤環境を維持することで良好に栽培できる。
フイリブキは、被子植物(Angiosperms)、真正双子葉類(Eudicots)、キク目(Asterales)、キク科(Asteraceae)、フキ属(Petasites)に属するフキの変種である。
キク科は被子植物の中でも最大級の科の一つであり、頭状花序という高度に統合された花構造を特徴とする。フキ属はその中でも湿潤環境に適応した大型草本群であり、地下茎による栄養繁殖を発達させている。
フイリブキに見られる斑入り形質は、自然選択による適応というよりは、突然変異と人為選抜の結果として維持されている形質である。すなわち進化的には中立または不利である可能性が高いが、人間の審美的価値によって保存・増殖されている点に特徴がある。

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第2版:2026-04-27.
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