
Osmanthus fragrans Lour. var. aurantiacus Makino.
モクセイ科モクセイ属[Oleaceae Osmanthus]。常緑小高木。
金木犀と書く。桂花とも言う。花の香りが街に漂う。英名はFragrant orange。中国大陸が原産地。雌雄異株。
中国南部を原産とし、古くから観賞および芳香を目的として栽培され、日本へは江戸時代以前に渡来したと考えられている。秋季に強い芳香を放つ橙黄色の小花を多数咲かせることから、庭木・生垣・街路樹として広く利用されている。
本種は高さ3〜6メートル程度に成長し、樹形は密に枝分かれして整いやすい。葉は対生し、厚く革質で光沢を有する楕円形から披針形であり、縁には細かい鋸歯を持つ場合が多い。若木の段階では葉縁の鋸歯が比較的顕著であるが、成木になると全縁に近づく傾向がある。
花は葉腋に束生し、直径数ミリメートルの小花が多数集まる。花冠は4裂し、色は橙黄色を呈する。この橙色が特徴的であり、同種の変種である白色花のギンモクセイ(O. fragrans var. fragrans)と識別される。
雌雄異株であるが、日本に流通する個体のほぼすべては雄株であり、このため国内での結実はほとんど見られない。
キンモクセイの最大の特徴は、その強く甘い芳香にある。この香気は主にリナロール、γ-デカラクトン、β-イオノン、α-イオノンなどの揮発性有機化合物によって構成される。とりわけイオノン類はスミレ様の香りを呈し、全体としてフルーティーかつパウダリーな印象を形成する。開花期には周囲数十メートルにわたり香気が拡散し、日本では秋の到来を告げる象徴的な存在として認識されている。
温暖な気候を好み、耐寒性は中程度である。日本では関東以西の地域において屋外での栽培が容易であるが、寒冷地では防寒対策が必要となる。日照を好むが、半日陰でも生育可能であり、適度に湿潤で排水性の良い土壌を好む。過湿状態が続くと根腐れを生じやすいため、排水管理に注意を要する。
開花は主に9月から10月にかけて行われ、短日条件と気温の低下に応答して花芽形成が進む。年によっては同一株が数週間の間隔をおいて複数回開花する「二度咲き」が観察されることがある。花は短期間で散るが、その間の香気の強さによって強い季節感を与える。
繁殖は主として挿し木によって行われる。挿し木は梅雨期(6〜7月)または秋(9〜10月)に行うのが適期とされる。種子による繁殖も可能であるが、前述のとおり日本においては雄株のみが流通しているため結実が稀であり、一般的ではない。剪定に強く、生垣として利用する場合には年1〜2回の整枝によって形状を維持できる。
なお、花芽は前年に形成された枝に着生するため、強剪定を行う時期によっては翌年の開花に影響を与える。したがって剪定は花後すみやかに行うことが望ましい。
キンモクセイは中国において古くから名花として愛され、詩や文学に頻繁に登場する。中国名は「桂花(グイファ)」または「金桂」と呼ばれ、特に中秋の頃に開花することから、月や秋の風物と結びつけられてきた。日本においても庭園文化や住宅景観に深く浸透し、学校や公共施設の植栽としても広く見られる。
また、その香りは香料として利用されることもあり、茶(桂花茶)や酒(桂花陳酒)、菓子の風味付けに用いられる。こうした用途は中国文化圏において特に発達している。
モクセイ属にはいくつかの近縁種が存在するが、代表的なものとして前述のギンモクセイのほか、花色が淡黄色のウスギモクセイ(O. fragrans var. thunbergii)などが知られる。これらはいずれも Osmanthus fragrans の変種として扱われ、花色や香りの強さ、開花時期などによって区別される。
分類学的には、モクセイ科(Oleaceae)はオリーブやジャスミン、ライラック、トネリコなどを含む群であり、これらはいずれも芳香性や観賞性に優れた植物を多く含む点で共通している。なお、かつてモクセイ科は「オリーブ科」とも通称されたが、現在の一般的な和名はモクセイ科である。

2021/09/11
| 草丈/樹高 | 5mから6m. |
| 葉 | 葉序[phyllotaxis]は対生[opposite].葉身の長さは3cmから6cm.広葉.単葉.形状は長楕円形から長楕円状披針形.葉縁[leaf margin]には鋸歯[serration,teeth]あり. |
| 花 | 花序[inflorescence]は束生花序.葉腋に数個束生し,強い香りがある. |

被子植物>真正双子葉類>中核真正双子葉類>キク群>シソ目>モクセイ科>モクセイ属
Vita brevis, ars longa. Omnia vincit Amor.