Definition:
「確率 $1$ で成立する」と言っても,例外的に成立しない場合が全く無いとは限らない.
成立しない場合があっても,それが確率 $0$ の集合に含まれていれば「ほぼ確実に成立する」と呼ぶ.
この違いは連続分布の確率変数で顕著に現れる.例えば $X$ が標準正規分布に従うとき,「$X$ は有理数である」という事象の確率は $0$ だが,可能性が全く無いわけではない.つまり,標準正規分布は連続分布であり,任意の一点や可算集合[有理数全体など]の確率は $0$ になる.それでも「$X$ は無理数である」はほぼ確実に成り立つと表現する.つまり,$\mathbb{R}$ を実数全体,$\mathbb{Q}$ を有理数全体を表すとすると,無理数全体 $\mathbb{R} \setminus \mathbb{Q}$ は 非可算集合 であり,$\mathbb{R}$ の「ほとんど全部」を占める.ここで,ルベーグ測度[連続分布の確率測度はこれと整合的]では,\[m(\mathbb{Q}) = 0, \quad m(\mathbb{R} \setminus \mathbb{Q}) = +\infty \ \text{(無限長)}\]したがって,連続分布では可算集合の確率はすべて $0$ になる.
標準正規分布の確率変数 $X$ に対して,\[ \mathbb{P}(X > -\infty) = 1 \]が成り立つので,「$X > -\infty$ はほぼ確実に成り立つ」と言える.
独立同分布列 $(X_n)$ の標本平均 $\overline{X}_n$ が真の平均 $\mu$ に収束する大数の法則,\[ \overline{X}_n \xrightarrow{\text{a.s.}} \mu \] も,ほぼ確実収束[確率 $1$ の事象上で収束]が起きることを意味している.
Mathematics is the language with which God has written the universe.