ヒステリシス損

ヒステリシス損

鉄損の一つ.鉄心の磁区が交番磁界により,磁界の向きを変えることにより生じる損失のこと.ヒステリシス $w_{h}$ は,材料による定数を $\delta_{h}$,周波数を $f$[Hz],最大磁束密度を $B_{m}$ とすると,\[w_{h}=\delta_{h}\frac{f}{100}B_{m}^{1.6\sim2.0}\]と表される.

この定式化は数学者で電気工学者のスタインメッツ[Charles Proteus Steinmetz:1865-04-09/1923-10-26]による.

上の式は,\[k_{h}=\frac{\delta_{h}}{100}\]とおいて,\[w_{h}=k_{h}fB_{m}^{1.6\sim2.0}\]と表される.最大磁束密度 $B_{m}$ にある $1.6$ はスタインメッツ定数といい $2.0$ とする場合もある.
なお,鉄心の最大磁束密度は,電圧を $E$,鉄心の断面積を $A$ として,\[B_{m}=k\frac{E}{fA}\]となる.

この2つの式により,\[w_{h}=k_{h}f \cdot \left(k\frac{E}{fA}\right)^{1.6\sim2.0}\]となる.さらに変形し,\[w_{h}=k_{h}^{'}f \frac{E^{1.6\sim2.0}}{f^{0.6\sim1.0}}\]となる.すなわち,ヒステリシス損電圧2乗に比例周波数反比例する.

鉄損中,約80%はヒステリシス損であり,上式にあるようにヒステリシス損は鉄心の厚みには無関係である.

なお,この関係式は,磁束密度 $B$ と磁界の強さ $H$ は透磁率 $\mu$ を用いると,\[B=\mu H\]という関係にあるから,$B$ と $H$ との関係式となる.この関係式は,ヒステリシス曲線,もしくは,ヒステリシスループ,B-Hカーブと呼ばれ,ヒステリシス損の大きさはそのループの面積に比例する.


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