サポジラ

Manilkara zapota

アカテツ科マニルカラ属[Sapotaceae Manilkara]

分類と分布

サポジラ(学名 Manilkara zapota)は、アカテツ科(Sapotaceae)マニルカラ属に属する常緑高木であり、熱帯アメリカを原産とする果樹である。その起源はメキシコ南部から中央アメリカにかけての地域にあり、のちにカリブ海諸島、さらに東南アジアや南アジアへと広く伝播した。とりわけインドやフィリピンでは重要な果樹として栽培されている。樹皮はチューインガムの原料となる。

形態

樹体・樹皮

本種は高さ10〜40メートルに達する高木で、樹皮は灰褐色を呈し、傷つけると白色の乳液(ラテックス)を分泌する。この乳液は歴史的に「チクル(chicle)」と呼ばれ、天然ガムの原料として重要な役割を果たした。実際、近代におけるチューインガム産業の初期段階では、このサポジラ由来のチクルが主要原料であり、天然資源としての経済的価値は極めて高かった。20世紀中頃以降は合成樹脂に置き換えられたが、近年は天然素材への回帰志向から再び注目されている。

葉・花

葉は互生し、革質で光沢があり、楕円形から披針形を呈する。花は小型で目立たず、葉腋に単生または数個束生する。花冠は白色ないし淡黄白色で、受粉後に果実を形成する。

果実・種子

果実は球形または卵形で、直径は一般に5〜10センチメートル程度、外皮は褐色で、成熟するとやや粗い質感を持つ。果肉は黄褐色から淡褐色で、柔らかく多汁であり、独特の甘味を有する。この甘味は主としてショ糖・果糖・ブドウ糖によるものであり、熟果はキャラメル様またはナツメグを思わせる風味を呈することが特徴である。内部には3〜12個の黒色で光沢のある種子が含まれ、種子は硬質で扁平な形状を示す。種子の縁には鉤状の突起があり、誤飲した場合に口腔や喉に引っかかることがあるため注意を要する。

栽培

栽培においては、高温多湿の熱帯気候を好み、排水性の良い土壌で良好に生育する。耐乾性も比較的高く、熱帯果樹の中では環境適応性に優れる部類に属する。一方で、霜害には弱く、温帯域での露地栽培は困難であるため、栽培地域は主に熱帯から亜熱帯に限定される。定植後、実生からの結実までには一般に5〜8年を要するが、接ぎ木苗では期間を短縮できる。

利用

果実は生食のほか、ジュースやデザート、ジャムなどに加工される。

チクルはチューインガムの原料として利用されてきたほか、木材も硬質で耐久性があるため建材や彫刻材として利用されることがある。

樹皮や葉、未熟果が収斂作用や解熱作用を有するとされ、民間療法に用いられてきた。

文化史的背景

サポジラは古代マヤ文明においても利用されていたことが知られており、特にチクル採取は森林資源利用の一形態として重要であった。こうした歴史的背景は、本種が単なる果樹にとどまらず、地域社会の経済や文化と深く結びついてきたことを示している。

201705.

Vita brevis, ars longa. Omnia vincit Amor.





















植物用語集 ヒイロサンジコ ベゴニア・シルバーミスト ガジュマル ヤコウボク フシグロセンノウ