定義:leaflet
小葉とは、複葉(compound leaf)を構成する個々の単位を指す用語である。複葉においては、1本の葉柄に複数の小葉が付着するが、それぞれの小葉は独立した葉ではない。すなわち、小葉の基部には腋芽が存在せず、あくまで1枚の葉の一部として位置づけられる。
小葉は、1本の葉柄(またはその延長である葉軸、rachis)上に複数配列する葉状構造であり、それら全体で1枚の葉を構成する。このとき各小葉は独立した葉ではないため、以下の点が重要な定義的特徴となる。
このうち特に腋芽の有無は、単葉と複葉、さらには小葉と葉の識別において決定的な基準である。すなわち、腋芽は「葉」の基部にのみ形成され、小葉の基部には形成されない。
小葉の形態はきわめて多様であり、その形状、縁、脈系、配置様式などは種ごとに異なる。代表的な複葉の型と小葉の配置には以下のようなものがある。
小葉はそれぞれ独立した葉身のように見えるが、全体としては統合された構造であり、葉軸との連続性を持つ。このため、個々の小葉が脱落しても葉全体の機能が完全に維持されるわけではない。
小葉と深裂した単葉との区別は、実際の観察においてしばしば問題となる。例えば、カエデのように葉身が深く裂ける単葉は、一見すると複数の小葉からなるように見える。しかしこの場合、裂片の基部には腋芽が存在せず、また裂け込みが葉身基部まで完全に分離していないため、単葉として扱われる。したがって、識別の原則は以下のように整理される。
この基準は形態学的に極めて重要であり、分類学的判断にも用いられる。
小葉は、葉原基(leaf primordium)の発達過程において部分的な分節化(marginal dissection)が生じることによって形成される。すなわち、1つの葉原基が成長する過程で、特定の領域における成長パターンや遺伝子発現が変化することで、複数の小葉へと分化する。
この過程には、KNOX遺伝子群の再活性化が関与する場合があるとされる。単葉ではこれらの遺伝子は抑制される傾向にあるが、複葉形成では葉原基内の特定領域でその発現が維持または再導入されることにより、分節構造が生じると考えられている。
複葉および小葉の形成は、単葉からの単純な派生とは限らず、異なる系統において独立に進化したと考えられている。すなわち、複葉は収斂的に出現した形態であり、その内部構造としての小葉もまた複数の進化的起源を持つ可能性がある。小葉を持つ複葉は、以下のような適応的利点を有する。
このような特性は、特に乾燥・高温・風の強い環境において有利に働くと考えられる。
注意すべき点として、「小葉(leaflet)」と小葉類(microphyll)は全く異なる概念である。小葉は複葉の一部であり、単独では葉ではないのに対し、小葉類は独立した葉であり、単一の維管束を持つ単純な葉の型である。この混同は初学者に多く見られるが、概念的には厳密に区別される必要がある。
Vita brevis, ars longa. Omnia vincit Amor.