ポアソン分布

ポアソン分布は、単位時間・単位空間あたりに発生する稀な事象の回数をモデル化する離散型確率分布である。独立かつ一定の平均発生率を持つ事象のカウントを記述する際に広く用いられる。

定義

パラメータ $\lambda > 0$ に対して、確率変数 $X$ がポアソン分布に従うとは、

\[P(X = k) = \frac{\lambda^k e^{-\lambda}}{k!}, \quad k = 0,1,2,\dots\]

を満たすことをいう。ここで $\lambda$ は単位時間あたりの平均発生回数を表す。

確率質量関数の性質

ポアソン分布は次の正規化条件を満たす。

\[\sum_{k=0}^{\infty} \frac{\lambda^k e^{-\lambda}}{k!} = 1\]

これは指数関数のテイラー展開に基づく。

期待値と分散

ポアソン分布の期待値および分散はともに

\[\mathbb{E}[X] = \lambda, \quad \mathrm{Var}(X) = \lambda\]

である。このように平均と分散が一致する点が特徴的である。

モーメント母関数

モーメント母関数は

\[M_X(t) = \exp\big(\lambda(e^t - 1)\big)\]

である。

特性関数

特性関数は

\[\varphi_X(t) = \exp\big(\lambda(e^{it} - 1)\big)\]

である。

加法性(再生性)

独立なポアソン確率変数 $X_1 \sim \mathrm{Poisson}(\lambda_1)$, $X_2 \sim \mathrm{Poisson}(\lambda_2)$ に対して、

\[X_1 + X_2 \sim \mathrm{Poisson}(\lambda_1 + \lambda_2)\]

が成立する。

導出(極限としてのポアソン分布)

ポアソン分布は二項分布の極限として導かれる。すなわち、

\[X_n \sim \mathrm{Bin}(n,p_n), \quad np_n \to \lambda\]

とすると、

\[P(X_n = k) \to \frac{\lambda^k e^{-\lambda}}{k!}\]

が成立する。

ポアソン過程との関係

ポアソン分布はポアソン過程の基礎をなす。ポアソン過程とは、以下の性質を満たす確率過程である。

このとき、時間区間 $[0,t]$ における事象の回数はポアソン分布 $\mathrm{Poisson}(\lambda t)$ に従う。

応用

ポアソン分布は、通信ネットワークにおけるパケット到着、事故の発生回数、放射線の検出回数など、稀な事象のカウントに広く用いられる。

まとめ

ポアソン分布は、稀な事象の発生回数を記述する基本的な離散分布であり、平均と分散が一致するという特徴を持つ。二項分布の極限として導かれ、ポアソン過程の基礎を構成する重要な分布である。

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