
Dasiphora fruticosa(L.)Rydb.バラ科キンロウバイ属(Rosaceae Dasiphora)。落葉小低木。
分子系統解析の進展により、現在では Dasiphora 属として独立させる扱いが主流となっているが、Potentilla(キジムシロ属)に含める文献も依然として存在する。北半球の寒冷〜温帯域に広く分布する種で、日本では高山帯や寒冷地に自生するほか、庭園樹としても利用される。
名称「銀露梅」は、露のようなウメに似た白〜淡色の5弁花の外観、および葉裏や若枝に見られる銀白色の毛の印象に由来すると解される。
北海道、本州、四国、および、北半球の温帯から寒帯にかけて分布。
ギンロウバイは高さ0.5〜1.5 m程度に成長する低木で、細かく分枝して半球状の樹形を形成する。枝は細く、若枝には密な絹毛があり、銀白色を帯びる。
葉は互生し、奇数羽状複葉で、小葉は通常3〜7枚からなり、日本産の高山性個体では5枚であることが多い。各小葉は狭長楕円形から倒披針形で、縁は全縁またはわずかに鋸歯を持つ。葉表は緑色であるが、裏面は白色の毛に覆われ、全体として銀灰色の印象を与える。
花は初夏から夏にかけて開花し、枝先に単生または数個つく。花径は2〜4 cm程度で、花弁は通常5枚である。野生種の基本花色は黄色(キンロウバイ)であるが、白色花を咲かせる個体もあり、これが特にギンロウバイの名で呼ばれる場合がある。多数の雄しべが中心に集まり、バラ科に典型的な放射相称花を形成する。
果実は多数の痩果からなる集合果である。
| 草丈/樹高 | 1.5m. |
| 葉 | 葉序[phyllotaxis]は互生[alternate].奇数羽状複葉. |
| 花 | 花序[inflorescence]は集散花序. |
ギンロウバイはユーラシアおよび北アメリカの広い範囲に分布し、寒冷地や高山帯、乾燥した草原などに適応した種である。日本では主に北海道および本州の高山帯(北アルプス・南アルプス・八ヶ岳など)に自生し、とくに蛇紋岩地や風衝草原などの特殊な立地環境に見られる。
日当たりの良い開放的環境を好み、砂礫地や岩場など排水性の良い土壌に生育する。乾燥や寒冷に対する耐性が高く、厳しい環境条件下でも生存可能である。
花は昆虫によって送粉され、種子は重力散布や動物による二次散布を受ける可能性がある。また、栽培個体では剪定に強く、再生能力も高い。
ギンロウバイは寒冷環境に適応した生理特性を持ち、短い生育期間の中で効率的に光合成と成長を行う。葉裏の密な毛は、蒸散抑制および低温・乾燥からの保護に寄与する。
また、強い日射や紫外線に対する耐性も高く、これにはフラボノイドなどの紫外線吸収物質が関与していると考えられる。
化学的には、他のキジムシロ属植物と同様にタンニン、フラボノイド、トリテルペノイドなどの二次代謝産物を含むことが知られており、これらは抗酸化作用や防御機構に寄与する。
ギンロウバイは観賞用低木として広く栽培されており、特に寒冷地や乾燥地の庭園に適した植物として利用される。黄色または白色の花を長期間にわたって咲かせるため、景観植物としての価値が高い。
また、刈り込みに強く、低い生垣やグラウンドカバーとしても利用される。園芸品種も多く、花色(黄・白・桃など)や樹形に変異が見られる。
一部地域では伝統的に薬用として利用されることもあり、収斂作用や抗炎症作用が知られているが、日本においては一般的な薬用利用は限定的である。
分子系統解析により、低木性の本種を含む一群は キンロウバイ属(Dasiphora)として独立させる扱いが現在の主流であり、Potentilla fruticosa という旧来の学名は同義語(シノニム)として扱われる。この分類変更は、形態(木本性)と分子系統の整合性を重視した再評価の結果である。
キジムシロ属(Potentilla)に近縁でありながら木本化した系統として特異であり、その差異が属の独立(Dasiphora)の根拠の一つとなっている。なお、寒冷・乾燥環境への適応に伴う形態的変化(低木化、毛の発達など)が顕著である。

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第2版:2026-04-27.
Vita brevis, ars longa. Omnia vincit Amor.