モーメントは確率分布の形状を特徴づける基本的な量であり、期待値の一般化として定義される。特に低次のモーメントは平均や分散と密接に関係し、高次モーメントは分布の歪みや尖度といった形状の特徴を記述する。
確率変数 $X$ に対して、$n$ 次モーメントは
\[\mathbb{E}[X^n]\]
によって定義される(ただし存在する場合)。
特に、
である。
モーメントには次の2種類がある。
\[\mu'_n = \mathbb{E}[X^n]\]
平均 $\mu = \mathbb{E}[X]$ を用いて、
\[\mu_n = \mathbb{E}[(X - \mu)^n]\]
と定義される。
特に、
である。
高次の中心モーメントは分布の形状を表す。
\[\gamma_1 = \frac{\mathbb{E}[(X-\mu)^3]}{\sigma^3}\]
分布の非対称性を表す。
\[\gamma_2 = \frac{\mathbb{E}[(X-\mu)^4]}{\sigma^4}\]
分布の尖り具合を表す。
モーメントは期待値の特殊な場合であり、任意の可測関数 $g$ に対して、
\[\mathbb{E}[g(X)]\]
という形で一般化される。
特に $g(x) = x^n$ とした場合がモーメントである。
モーメント母関数
\[M_X(t) = \mathbb{E}[e^{tX}]\]
を用いると、
\[\mathbb{E}[X^n] = \left.\frac{d^n}{dt^n} M_X(t)\right|_{t=0}\]
が成立する。
特性関数
\[\varphi_X(t) = \mathbb{E}[e^{itX}]\]
に対しても、
\[\varphi_X^{(n)}(0) = i^n \mathbb{E}[X^n]\]
が成立する(モーメントが存在する場合)。
適当な条件のもとで、すべてのモーメントが与えられると分布は一意に定まる。しかし、一般にはモーメント列だけでは分布が一意に定まらない場合も存在する(モーメント問題)。
モーメントが存在するためには、
\[\mathbb{E}[|X|^n] < \infty\]
が必要である。
モーメントは確率分布の形状を定量的に記述するための基本的な道具であり、期待値の一般化として定義される。低次モーメントは平均や分散に対応し、高次モーメントは歪度や尖度として分布の形状を特徴づける。モーメント母関数や特性関数を通じて、分布解析や理論的展開において重要な役割を果たす。
Mathematics is the language with which God has written the universe.