単調収束定理

Monotone Convergence Theorem:

$\mu$ を測度空間 $(X, \mathcal{A}, \mu)$ 上の測度とする.

非負可測関数列 $(f_n)_{n=1}^\infty$ が以下の性質を満たすとする.

  • $f_n(x) \le f_{n+1}(x)$ が任意の $x \in X$ に対して成立する(単調増加列)
  • $f(x) := \lim_{n \to \infty} f_n(x)$ と定める

このとき,\[\lim_{n \to \infty} \int_X f_n \, d\mu = \int_X f \, d\mu\]が成り立つ.

単調収束定理[Monotone Convergence Theorem]とは,測度論における基本的かつ重要な定理であり,特に確率論において期待値極限交換を正当化する際に用いられる.単調収束定理により,非負の確率変数列 $(X_n)_{n=1}^\infty$ がほとんど確実に単調増加($X_n(\omega) \uparrow X(\omega)$)し,その極限を $X$ とするとき,\[\lim_{n \to \infty} \mathbb{E}[X_n] = \mathbb{E}[X]\]が成り立つ.つまり,確率変数列単調に[増加して]ほぼ確実に収束すれば,その期待値の極限極限確率変数の期待値は一致する.これは期待値極限操作を交換できる強力な結果であり,確率論や統計学で頻繁に利用される.

なお,$X_n$ が単調減少であったり符号のある場合はこの定理は直接適用できず,支配収束定理など他の収束定理の利用が必要となる.

証明

各 $f_n$ は非負なので,積分も非負であり単調増加列 $(\int_X f_n d\mu)$ を形成する.よって極限\[L := \lim_{n \to \infty} \int_X f_n \, d\mu\]は存在し,$L \in [0, +\infty]$ である.

$f_n(x) \le f(x)$ より,\[\int_X f_n \, d\mu \le \int_X f \, d\mu\]が任意の $n$ に対して成り立つ.従って,\[L = \lim_{n \to \infty} \int_X f_n \, d\mu \le \int_X f \, d\mu\]逆に,$f_n$ は $f$ に単調増加で近づくので,単純関数列や下側近似の性質により,\[\int_X f \, d\mu \le L\]が成立する.

以上より,\[L = \int_X f \, d\mu\]が成立$\hfill \square$.

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