
ルリマツリ(瑠璃茉莉)は、イソマツ科(Plumbaginaceae)ルリマツリ属(Plumbago)に属する常緑性の低木である。学名はPlumbago auriculata Lam.であり、和名は瑠璃色の花を茉莉花(ジャスミン)に見立てたことに由来する。英名ではケープ・リードワート(Cape leadwort)やブルー・プルンバゴとも呼ばれる。半つる性の枝を伸ばしながら生育する性質を持ち、淡い青紫色の花を長期間にわたって咲かせることから、庭園や生垣を彩る観賞用花木として世界各地で広く栽培されている。
樹高は栽培条件下で1から2メートル程度となることが多いが、自生地では枝を這わせるように伸長し、高さ6メートル、幅3メートルに達することもある。枝はしなやかで細長く、支持物に寄りかかるようにして半つる状に成長する。葉は互生し、倒卵形から長楕円形で長さ2から5センチメートルほど、光沢のある緑色を呈する。花は枝先に総状ないし穂状に集まって咲き、花冠は5枚の裂片からなり、直径約2センチメートルの高杯形を呈する。花色は淡青色から青紫色が基本であるが、白花品種(Plumbago auriculata var. alba)や、より濃い青色を呈する園芸品種も知られる。萼には腺毛が密生し、粘着性を持つ点が本属に共通する特徴である。
本種は南アフリカおよびモザンビークを原産地とする。温暖で乾季と雨季が明瞭な気候に適応しており、日当たりの良い場所を好む一方、耐寒性は限定的であるため、温帯地域では冬季に地上部が枯死するか、鉢植えとして室内で管理されることが多い。現在では観賞用として熱帯から温帯にかけての世界各地に導入されており、一部の地域では逸出して野生化した個体群も報告されている。花は主に昆虫を誘引して受粉が行われると考えられており、萼の腺毛から分泌される粘液は、小型の昆虫を付着させることで捕食者や不適切な訪花者から花を保護する役割を果たしているとする見解がある。
ルリマツリ属の植物には、ナフトキノン系の化合物であるプルンバギンが特徴的に含まれることが知られている。プルンバギンは根や茎に多く含まれ、抗菌作用や抗炎症作用など多様な生理活性が報告されている一方、皮膚や粘膜に対して刺激性を示すことがあるため、取り扱いには注意が必要である。また萼に見られる腺毛からの粘液分泌は、化学的な防御機構の一端を担うと考えられている。花色の発現には、他の多くの青色系花卉と同様にアントシアニン色素が関与しているとみられる。
ルリマツリは長い開花期間と育てやすさから、世界各地の庭園において生垣や壁面緑化、鉢植えなどの用途で広く利用されている観賞用植物である。日本国内でも温暖な地域を中心に庭木として植栽され、夏から秋にかけて涼しげな青紫色の花を楽しむことができる。原産地である南アフリカでは伝統的に、根や葉の抽出物が民間療法において利用されてきた歴史も知られているが、プルンバギンによる刺激性を考慮し、現代における利用は限定的である。園芸分野では耐寒性や花色の異なる複数の品種が選抜されており、鉢物や地植えなど多様な栽培形態に対応する品種改良が続けられている。
ルリマツリはナデシコ目(Caryophyllales)イソマツ科(Plumbaginaceae)に属し、科内ではルリマツリ属(Plumbago)に分類される。より広い系統的位置としては、真正双子葉類(Eudicots)のうちコア真正双子葉類(Core eudicots)に含まれるが、バラ類やキク類のいずれにも属さない、ナデシコ目に固有の系統群を形成する点が特徴的である。イソマツ科は萼に腺毛を持つ点や、花柱が複数に分かれる点など、同じナデシコ目に属する他科とは異なる派生的形質を有しており、乾燥地や塩生地に適応した種を多く含む科として進化してきた系統である。
第2版:2026-07-24.
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