
Cocculus orbiculatus。ツヅラフジ科アオツヅラフジ属(Menispermaceae Cocculus)。つる性落葉木本。
青葛藤と書く。また、カミエビ、ピンピンカズラとも言われる。落葉性のつる植物であり、東アジアの温帯域から亜熱帯域に広く分布する在来種である。学名は Cocculus orbiculatus(L.)DC. とするのが現在の有効名として広く採用されており、Cocculus trilobus(Thunb.)DC. はそのシノニム(異名)として扱われることが多い。日本では本州・四国・九州・沖縄および南西諸島を含む各地で普通に見られるほか、朝鮮半島・中国・東南アジアにも広く分布する。林縁や藪、河川敷などに自生し、他の植物や構造物に絡みつきながら成長する。
つるは木質化し、長く伸びて周囲に巻き付きながら広がる性質を持つ。このような生育様式は、光環境を効率的に利用するための適応と理解される。
葉は互生し、円形から広卵形で、しばしば浅く三裂する形態を示す。葉の質はやや厚く、表面は滑らかで光沢を帯びる。名称に「アオ(青)」とあるのは、この葉の色調や果実の未熟時の色に由来すると考えられる。
花は夏季(7月から8月頃)に開花し、黄緑色の小花を多数つける。雌雄異株であり、雄株と雌株が別個体として存在する。花自体は小さく目立たないが、葉腋から生じる円錐花序にまとまって着く。
果実は球形の核果で、秋に成熟すると黒紫色に変化し、表面には白みがかった粉を帯びることがある。内部には特徴的に渦巻き状・馬蹄形に湾曲した種子を含む。和名「ツヅラフジ」の由来については、この湾曲した種子の形が編み籠(葛籠・つづら)の編み目に似るとする説と、つる自体が籠材(つづら)として利用されたことに由来するとする説があり、「フジ」はつる性植物を広く指す語として付されたものと考えられる。
アオツヅラフジは日当たりの良い場所から半日陰まで幅広い環境に適応するが、特に攪乱を受けやすい環境、すなわち林縁や伐採地、河川敷などで旺盛に繁茂する傾向がある。鳥類による種子散布が重要な役割を果たしており、果実を摂食した鳥が種子を遠距離へ運搬することで分布域を拡大する。
また、つる植物としての成長は周囲の植生構造に強く依存しており、支持体となる樹木や草本の存在が個体の発達に大きく影響する。
アオツヅラフジは全草、特に果実や根にアルカロイドを含み、有毒植物として知られる。主な成分としてはトリロビン(trilobine)、コクリン(coclaurine)系アルカロイドなどが知られており、中枢神経系に作用する。誤食した場合には嘔吐や痙攣、呼吸困難などの中毒症状を引き起こす可能性があるため、野外での採取や利用には十分な注意を要する。なお黒紫色に熟した果実はブルーベリーや野生のブドウ類と外見上混同されやすく、誤食事故の一因となり得る点にも留意が必要である。
このような毒性は、動物による過剰な食害を防ぐ防御機構として進化したものと考えられる。
ツヅラフジ科のつる植物は、古くからその柔軟で強靭なつるを利用して籠や結束材として用いられてきた。アオツヅラフジも同様に利用されることがあったが、籠材としてより広く用いられたのは同科のツヅラフジ(Sinomenium acutum)やクズ(マメ科)など、より太く長いつるを持つ種であり、本種の実用上の利用は限定的であったと考えられる。
一方で、野趣に富んだ外観や秋の果実の色彩から、自然観察や里山の景観要素として注目されることがある。
ツヅラフジ科(Menispermaceae)は主に熱帯から亜熱帯に多様性を持つグループであり、多くの種がつる性を示す。APG IV体系においてはキンポウゲ目(Ranunculales)に位置づけられる。アオツヅラフジ属(Cocculus)はその中でも温帯域に適応した系統の一つである。
本種の形態的特徴、特に湾曲した種子やアルカロイドの生成能力は、科全体に共通する進化的特徴をよく反映している。
| 草丈/樹高 | 2m. |
| 葉 | 葉序[phyllotaxis]は互生[alternate].単葉[不分裂葉].葉身の長さは3cmから12cm,幅は2cmから10cm.形状は広卵形から卵心形.単葉[不分裂葉],もしくは,分裂葉.葉縁[leaf margin]は全縁[entire margin]. |
| 花 | 花序[inflorescence]は円錐花序. |

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